極星に云った

キャストリアの小説 6章ネタバレ?



極星を見た。
どこまでも輝く星、永久に照らす星、遙か彼方から届く光、全ての人々が夜空を仰ぎ見上げる星。

嗚呼。そう手を伸ばせば、指の間から星の光が降り注ぐ。幾星霜この世界を照らしてきた星が今度は私を照らしてくれる。

貴方はすごいね、私はそんな風になれるかなあ、ちょっと自信ないな。だって、ずっとひとりでそこにいて、みんなに見上げられるだけで、誰にもお礼なんて云われなくて、でも輝き続けて光を放つの……ちょっと、途方もなくて想像がつかないな、どうするの、それ。メンタル管理とか、ちょっと習いたいかも。やっぱり筋肉かな?

なんて話しかけてみるけれど、やはりそれは答えない。ただ燦然と輝き続けるだけ。そこに在るだけ。

あーあ、やっぱりね、ほらね。なーんにもないんじゃん。


そう背を向けて走り出した、星を見ないように走り出した。草原をかけた、山をかけた、森をかけた、荒野をかけた、私はひとりで走り続けた。

そうしてふと振り返れば、極星は嵐の中で光を失わなかった。


ねえ、勝手なことを云っても良い? ありがとうってお礼を言いたいの。ずっと見守ってくれてたんだろうな、なんて勝手に思ったの。だからありがとう。


今度は私が鐘を鳴らそう。
遠くまで、どこまでも地の果てまでもこの妖精の世界を駆け抜けていく鐘の音を。重低音をかき鳴らそう。さあはやく、はやく。
終焉を迎え《おわらせ》てしまおう。

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