キスの日SS

この小説はミクリ夢です
意味が分からない方は読まないでください
※時系列はガラル編の後です


「アザレアのファーストキスは私かな?」
「そうですよ。ファーストキスがディープキスだったんです」
 そう少しだけ口をとがらせて言う彼女が可愛い。
「ねえ、そういえば君の手料理を初めて食べたのは」
 彼女がまだ小さかった頃、スクールで作ったからとクッキーをくれたことがある。最初は私にくれるかどうかも迷ったらしいけれど、その話が出たときにつかさず「食べてみたいなあ」と強請って貰ったのだ。
「それはトウキくんですかね」
「……は?」
 思いがけず不機嫌な声が出た。
「トウキくんがレモンの蜂蜜漬け食べたいって言うから、ツツジちゃんと作ったんですよ。トウキくんってほら、案外食いしん坊ですからね。バレンタインも、散々貰うくせに『もっと食べたいから皆に頼んでるんだ! アザレアもちょうだい! 手作りがいいな!』って言うから、今も用意してるんですよ」
「……ほう、ほう。そんなに、そんなに君たちが仲が良かったなんて知らなかったな」
 私はまだ貰えていなかったバレンタインの年に、彼女からチョコを貰っていた男が、ダイゴ以外にもまだいたようだ。
「ねえ、アザレア」
 そう言って立ち上がり、彼女を思いきり抱き寄せてから、口づけた。二度三度と角度を変えて、少しずつ深くしていくと、彼女の体重がかかった。力が抜けたらしい。
「今後は、そういうのやめてね」
「……え、バレンタインぐらいはあげますよ? さすがにレモンの蜂蜜漬けは面倒くさいし、トウキくんのファンが怖いので差し入れはしませんけど」
「チョコもやめて」
「…………分かりました」

 後日私からとばっちりを受けた彼は
「ボクも悪かったけど、アザレアもアザレアだよ! ミクリに言って良いことと悪いことがある!」
 と彼女を注意したらしい。
 知ったことではない。

Atorium

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