パルスワンみたいに後ろを歩く
この小説はミクリ夢の小説です。
意味が分からない方は絶対に読まないでください。
普通に行為を匂わせる描写があります、気をつけてください!
※時系列はガラル編の直後です
私がデスクから離れると、アザレアが後ろから付いてきた。
私はその様子を見ながら、可愛いな、と思いつつソファに腰掛けると、やはり彼女も隣に座った。
私が水でも飲もうとソファから立ち上がれば、彼女も後ろからついてきたため「君もお水飲む?」と聞くと彼女はこくこくと頷いた。
グラスをふたつ用意して、水を注いでから彼女に渡した。
私が立つと、彼女がまたついてきた。廊下の途中で振り返ると、彼女が私の行き先を察したのか、はっと我に返って謝った。
「ごめんなさい」
「ううん。別に怒ってないし迷惑でもないんだよ。ただ、私に何か言いたいことがあったから、パルスワンみたいに後ろからついてきたのかなと思って」
何かあったの、と目線を合わせて聞くとさっと目をそらされた。これ自体はいい、彼女は元々人見知りで他人と目を合わせることも辛そうだった。今となっては、もう少し違う理由だったと分かるが、とにかく、彼女は目を合わせることが苦手だ。
「あの……その」
「何?」
「……何も用事は無いんです……すみません、お邪魔して」
「……待ってアザレア、早とちりしてる」
こうなっては自分のことは後回しだ。身綺麗にするのは置いておき、彼女の誤解を解いた方が良い。
「私、ミクリの後を付けるような真似をして、とっても邪魔で迷惑をかけていましたよね。ごめんなさい……!!」
「違う。さっきも言ったけれど、別に邪魔でも迷惑でもないんだ」
そう言って彼女を抱きしめてから、緊張をほぐそうと眉間に優しくキスをした。すると、彼女が少し見あげて、私に言う。
「やめてください、力が抜けます」
彼女は、自分が何を言っているか分かっていないのだろうな、と思った。
「ならそのまま力を抜いて。君は普段から肩に力を入れすぎだ。少しは休まないと」
そう言って唇も奪い、何度か息継ぎをさせてあげながらもそれを繰り返せば、彼女が私にすがるように腕を回してきたため、そのまま抱きしめた。
少ししてから離すと、さすがに逃げる気が無くなったという顔をしていた。
「……ありがとうございます」
ようやく伝わったようでなによりだ。彼女の額に口づければ、彼女が少し潤んだ瞳で見あげてきた。
「君が傍にいてくれることは、何よりも嬉しいことなんだ。でも、何か心配事でもあるのかなって気になって」
そう言うと、彼女はおずおずと話し始めた。
「私、ホウエンに戻ってきてから変なんです。なんていうか、その、自分がコントロール出来ないというか」
慌てふためいたように言うので、頭を撫でながら「どういうこと?」と続きを促すと少しずつ話してくれた。
「私、その……ミクリの傍にずっといたくて。ミクリから少しも離れたくなくて……それでずっと、ついて行っていたんです。本当に、あの、えっと……」
そう、申し訳なさそうな顔をした彼女はいつもよりも特別可愛らしく見えて、ああ、私もだいぶダメなやつになってきたな、と自嘲した。
「アザレア」
「はい」
「……今すぐ君が欲しい。私は自分のことを終わらせてくるから、ポケモンたちをボールに戻しておいてくれる?」
二人きりになりたいときは、必ずポケモンたちはボールに入れてロックをかけておこうという、彼女との約束だ。
そう耳元で囁くと、彼女は健気に何度も頷いて、私から離れた。
さすがにあれは反則だろう、と一人でうなだれてから、彼女を寝室へと引き込んだ。
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