【ミクリ視点】日曜日の昼下がりSS


 人と人とが出会う事は、どのくらいの確率なのだろう。どのくらい頑張れば彼女に会えるんだろう。彼女は誰なんだろう。どうしてこんなに苦しいんだろう。
「……早く彼女に会いたい」
 会って、話がしたい。君は何が好きなの、どんなものが苦手なの……君は一体どんな人なんだろう。
 出会えなかった頃はただ、彼女がどこかで生きていてさえくれればきっといつか出会えると信じていた。
 彼女と出会った後は、たまにしか会えないことがもどかしくてたまらなかった。本当は毎日でも彼女のそばにいたいのに、彼女に会いに行きたいのに、そうすることが許されなくて、ただ彼女に人目会えればそれでよかった。
 彼女と日々を過ごすようになってからは、彼女がただそばにいてくれればそれだけでよかった。彼女が私の隣にいて、一緒に話をしてくれて、小さなことでたまに笑ってくれて。それだけでよかったのに。
 ……人間は、醜く、強欲な生き物だ。

「アザレア、こっちにおいで」
 そう自分の膝の上に誘導しようとしたら、彼女は一度しっかりと私に向けて顔をしかめてから、私の膝の上に座った。
「なんですか?」
「ん、なんでもないよ」
「なんでもないんですか」
「そうだよ」
 じゃあなんで呼んだんだ、と言いたげな彼女は、顔をしかめることをやめない。……お互いに、だいぶ遠慮がなくなってきたな、と考えていた。
 それでも彼女は私の膝の上から退こうとはしないので、抱きしめてもいいかと尋ねると、彼女は答える代わりに抱きしめてくれたため、私も彼女の背中に腕を回した。
「……師匠、疲れが溜まっているんですか?」
「まあ、そんなところかな」
「そうだったんですね、気がつかずすみません」
「いいんだよ」
 彼女は私がハグを求めるのは、ストレス解消のためだと思っている。
 以前、ストレスが溜まってどうにもならず一人で頭を掻き毟っていたときに、彼女に突然抱きしめられたことがあった。聞けば「ハグするとストレスが減るらしいんですよ。私とハグしたぐらいで減るかはさておき、私で役に立たないかと思って。ごめんなさい」なんていうので、そのままありがたく抱きしめさせてもらったのだ。離すときに「ありがとう」と言いながら彼女の頭を撫でれば、ぽっと頬を赤らめていたので、自分でやっておきながら照れているらしい。可愛いらしい。
「師匠」
 そう、呼びかけとともにぎゅうと抱きしめられて、私もこの状況を美味しいと思うぐらいには疲れているのだなと思う。彼女を抱きしめる力を強くすれば、彼女がこちらを見上げてにこにこ笑っていた。役に立てて嬉しい、とそんなところだろうか。
 日曜日の昼下がり、暖かい日差しが差し込む場所で彼女をずっと抱きしめていられる事はたまらなく幸せで。どうか、このまま時が止まってしまいますようにと願ってしまう。
 ずっと、ずっと、ずっとこのまま私の腕の中にいればいいのに。
 彼女にだって友人関係がある事はわかる、彼女の知人を全員私が知っているわけではないことも当たり前のことなのに。いっそ拘束して仕舞えば楽になるのかな、なんて薄暗いことを考えてしまう自分が嫌だ。
「マチュ」
 いつの間にか彼女の相棒も私の脇腹に抱きついていたので、撫でた。そこでふと、アザレア、と呼び掛けようとして固まる。
 彼女はすやすやと穏やかな寝息を立てて眠っていた。
 あどけない寝顔と、眠たそうなトゲデマルを見て、私も一緒に寝ようかな、なんて現実逃避をした。
 そんな日曜日も、いいかもしれない。



診断メーカー「3つの恋のお題ったー」様より
ミクアザへの3つの恋のお題:ただ傍に居てくれたらそれだけで良かった/いっそ拘束して/あどけない寝顔

Atorium

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